家に求めるものは、人によって違います。
デザインを求める方もいれば、使いやすさを求める方もいれば、落ち着きを求める方もいれば……。
価値観は人によってさまざまで、しかしそれでも住む人の便利さはちゃんと考えられるのが、家づくりに携わる者の勤めだと感じています。
デザインばかりに目を向けてしまうと、そこに住む人のことを見失ってしまいます。
建築用語で「ノイズ」というと、デザイン上邪魔になるもの、空間の統一性を妨げるものを、ノイズと呼びます。
中には何でもかんでもノイズとしてしまい、エアコンやスイッチやコンセントなど、デザインを重視するがあまり、使いやすさにまったく配慮されていない家もあります。
見た目的にこっちの方が綺麗だから、住む人はそれに適応するように住んでください。
これはある意味乱暴ではないでしょうか。
ただの作品ではなく、高いお金を払って、生活していく家をお客様は作るわけですから、最低限の配慮はしてほしいと感じます。
しかしそういうことすら、私が関わってないと分からないことなのです。
先日詳細図のチェックをさせて頂いた方も、そういうところが見て取れました。
本当に人の流れというものを意識しているのだろうかと……。
夜寝る時に、夜出かける時に、あっちに行って明かりを点けて、あっちに行って明かりを消して、まとまれば動きはスムーズなのに、どれだけ歩かせるのだろうと……。
「香月さんに入ってもらっていて、本当に良かった。こんなこと絶対に考えようもなかったし、気付けなかったです」
そういう言葉は嬉しいと思える反面、配慮のなさすぎる提案を残念にも感じてしまいます。
高いお金を頂いて建築していくのだから、もう少し住む側の身になってほしいと感じるものです。
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