住宅ローンの繰り上げ返済については、セミナーの中でもお伝えしています。
未だに「繰り上げ返済神話」のようなものが存在していて、住宅会社の担当も当たり前に勧めてきます。
しかし繰り上げ返済というのは、手放しに得とは言えなくなっています。
繰り上げ返済のメリットを簡単に説明すると、繰上げする金額を、残りの返済期間、その借入利率で複利運用したのと、同じくらいの効果があります。
ですから、金利が高ければ高いほど、残存期間が長ければ長いほどメリットがあります。
具体的に言うと、35年返済3%の金利で借り入れしているローンに、5年後に100万円繰り上げ返済した時は、100万円を3%で30年複利運用したのと同じくらいの効果があります。
ちなみにこの場合の繰上げメリットは約140万円。金利を140万円支払わなくてよくなります。
100万円で140万円メリットが出る訳ですから、預貯金の利息とは比べ物にならないメリットになります。
それに対し、同じ条件で金利が1%だったケース。現状の金利はそれより下のケースもありますが、この場合の繰上げメリットは約34万円に激減します。30年も運用して、100万円が34万円しか増えないのです。今の預貯金の金利と比べるとそれでもメリットがありますが、一時払い終身保険などにしておいた場合、それ同等、場合によってはそれ以上のメリットを出すことも出来たりします。
しかも忘れてはならないのが、繰り上げ返済は、一緒に生命保険も消してしまっているということ。
返済途中で借りている方が無くなった場合、一度繰り上げ返済したものは戻ってはきません。
つまり繰り上げ返済は、返済途中の死亡リスクをまったく考えていない資金計画だということです。
がん団信のオプションなどついていると、そのダメージはさらに増大します。
ということで、これだけ金利が低く、繰上げメリットが減っている今は、保険など違う運用を考えることをおススメします。
繰上げするとの同じくらい、場合によってはそれ以上のメリットをだし、しかも途中で亡くなった場合には原資が倍くらいに増えることもあります。
知らず知らずに損をしないようにお気を付け下さい。