住宅ローンの返済年数を考える際、定年の年齢を考えて、短く組もうという方もいます。
昔のように金利の高い時代はそれで間違いではありませんでした。
しかし今の低金利下では、そこまでのメリットが出ないケースもあり、様々な角度から考える必要があります。
先日、住宅FPという方が、返済年数についての質問に対して返答しているものをたまたま拝見しました。
その方がおっしゃるには、返済途中で予測不能のこともあるので、返済期間を出来るだけ長く組んで、繰上げ返済で早く返す、つまり「長く組んで短く返す」ことがいいということでした。
それよりも返済年数を短くするにはそれだけの返済額が返済比率に収まるだけの年収が必要なので、本当に出来るのですか? という問いかけを残していました。
この理論は片手落ちの理論です。
残念ながら、住宅ローンを「借金」という側面でしか捉えられていないFPです。
住宅ローンは「借金」という側面と「保険」という側面があり、この低金利下では「保険」という要素が大きくなっているので、繰上げ返済にはリスクの方が大きくなっています。
あくまで同じ金額を借りる場合というシミュレーションですが、返済年数を短くするのであれば、その返済額を毎月通帳に入れて、長い返済期間で借入をし、余剰を貯めていけばいいのです。
それを生命保険などを使って積み立てをしていけば、当初予定した期間には、残債分の解約返戻金が積み上がったりします。
この対策であれば、金利上昇時への対策にもなりますし、養育費などで返済額を抑えたいというような時には、その保険を「払い済み」にして、体感返済額を減らすことも可能になります。
(例:3000万円借入、25年返済を35年返済に)
・3000万 0.975% 25年返済 ⇒112,722円/月
・3000万 0.975% 35年返済 ⇒84,336円/月
⇒25年後の残債=約960万円
⇒25年返済を計画の方に、35年返済にし、差額を積み立てた場合
→ 112,722-84,336=28,386円
25年後→28,386×300=約851万円
⇒預貯金では赤字となりますが、一部もしくは全部を保険等の運用に回せば、25年後の残債を上回ることも可能となってきます。
そして大事なのは、積み上がった残債分の対策費を一括で返済するのではなく、取り崩しながら返済をしていくということ。保険を消さないことが大事なのです。
40歳の方が25年経ったら65歳。
そこから10年の死亡リスクは、今とは段違いです。
しかもがん特約なんてついていたとしたら、がん罹患リスクまで考えると、わざわざ保険を消すことに意味が少ないことは容易に理解できるはずです。
そういう対策なしに、ただ返済年数ギリギリまで提案する売り手側の担当もいます。
それは、自社の費用とお客様の予算を合わすことだけを考えた提案と言えます。
多面的に見ないと分からないことがたくさんあります。
それを見えるようにして、間違いのない検討や判断をするために、本当の専門性が必要であり、ブレインが必要なのです。
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