あの一件以来落ち込んでいた私のためだろう。
主人は会社の先輩に相談したらしい。
去年、マイホームを注文住宅で建てた方だった。
事情を聞いたその先輩は、必ず力になってくれるからと、マイホームプロデューサーという人を紹介してくれた。
何やら怪しい感じもしたが、主人の先輩がせっかく紹介してくれたからと、一度そうだなんしてみることにした。
じっくりと私たちの話を聞いて、ひとつひとつに共感してくれた。
どのように進めれば良かったのかも教えてくれたが、ほとんどの人はそういったやり方は知らずに進めるという。
私たちが得られる情報のその多くが売り手側に偏ったものだからだそうだ。
仕組みの話を聞くと、そのことが妙に納得できた。
事前準備が大事なのに、売り手側は出来るだけそれをさせたくない。
その方が、売る側に有利な刷り込みがしやすいからだ。
賃貸とマイホームの違い、家賃と住宅ローンの違いも、プロに教えてもらわないと気づけない内容だった。
住宅ローンは借金だというイメージが強かっただけに、生命保険としての価値もあることに驚いた。
それを聞いた時、主人は、家族のことを思うと健康なうちに進めないといけないね、と私と娘を見ながら言った。
私たちのことを大事に考えてくれているんだと、嬉しくなった。
減点法と加点法という、選び方の違いの話は面白かった。
確かに目の向けどころを間違うと、自分で不満を作っていくことになる。
夫婦でも、お互い気に入らないことは多少なりともある。
でもそれを補って余りある大事な部分があり、だからずっと一緒にいられる。
マイホームも長い付き合いになるからこそ、減点法で選ぶのではなく、加点法で選んでいくことが大事なんだ。
私は資金計画について質問した。
我が家にとっての適性がどの程度なのかが知りたかった。
金利上昇や定年後のことなどの心配も踏まえ、住居費と返済年数の活用の話は目からウロコだった。
住宅ローンのメリットとリスクを正しく理解することで、将来にも安心できる資金計画が立てられることを知った。
私たちにもちゃんと合うマイホームがあるんだと勇気づけてもらえた。
やり方を知らなかっただけなんだ。
順序だてて進めていけば、あんな思いをしなくても良かったんだ。
私たちのマイホーム計画が、本格的に始まろうとしていた。
(つづく)
